自己喪失の体験 バーナデット・ロバーツ
自己喪失の体験 & 個性について追記

自己喪失の体験という本の紹介です。
著者であるバーナデット・ロバーツは一般的なアメリカ人家庭の自然を愛する主婦ですが、幼い頃より神に関連する数々の不可思議な体験をしており、10年間修道院で過ごしたこともある方です。
そんな著者が、ある日突然に『自己喪失』というまさに自分の中身が空っぽになってしまった経験を綴ったものです。
何のことやらと思われるかもしれませんが、きっと他に表現できる言葉もないのでしょう。
論理の上では原因も意味も分からぬ、感覚的なものでしか知りえない不安や恐怖やささやかな喜びの状態のなかを進んでゆく内容は、読んでいて思わず引き込まれてしまいます。
著者は敬虔なキリスト教徒ですが、その経験した内容は東洋的な神秘であり、禅における悟りの状態とも形容されています。
『自己』『自分』という存在そのものに疑問をもたれている方、悟りと言う状態に興味をお持ちの方にお薦めします。


この本の中で、もっとも印象に残った部分を引用します。
木や雲や鳥には自己がないままに多様性があることを見ても、自己というものは個別性のために必要なものではなく、自己を失った後でもその人の独自性は残るのです。

以前、『個性について』というタイトルで書いたものがありますが、そのなかで私が『真の個性』としたものは、まさに上記引用の『独自性』であり同じ(または類似)した解釈をした先人がいたことを心強く思います。




2009-08-30 Sun 11:33


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