一言雑感 銀座のpepper's gallery主催で、来年開催されるOther Painting Uという展示プログラムに参加します。 期間は2008年1月7日〜26日までの三週間。そのうちの一週間、私の作品が展示されます。 他にも複数の方が参加されており、一週間の展示作家数は6人ほどです。 詳細決まり次第、トップページにてお知らせいたします。 2007/Nov/14 焼き物の世界では、その美しさをたとえる為に『景色』という言葉が使われます。 この『景色』は焼き釜の中で燃え盛る炎と、微妙に調合された釉薬との間で生じた自然発生的な美しさであり、人工的に生成できる類のものではありません。 私の作品は主に油彩画ですが、その絵のなかでもやはり『景色』というものを大切にしています。 絵の具を厚く薄く塗り重ね、やはり偶然的に出来上がる『景色』が油彩のなかにもあるのです。 まったく意図したものでもなく、そして気づかぬうちにそれは画面の中で一つのアクセントとして存在感を発揮し、絵の出来もそれによって左右されることもしばしばあります。 そして、その色合いをヒントに新たな作風が開拓されてゆくのを感じます。 追記 今月のデザインフェスタ見に行くか思案中。。。 なにか面白いものあるだろうか? そして、この日記だかなんだかわからないものをブログに移行しようか迷っています。 7/Nov/2007 暫くご無沙汰しておりました。 ただの怠惰によるものでもありますし、負担になるものがあったりもしました。 しかしながら、相変わらず美術展を巡ったりしております。 前回の書き込み以降観たもので良かったものを幾つかまとめてみます。 『パルマ美術館展』 イタリア・パルマのキリスト教絵画がメインの展示でした。 イタリア絵画といえばルネサンス美術を彷彿とするものですが、 それに劣らぬ芸術家たちがパルマにもいたようです。 この展覧会へ行くきっかけは、ポスターを飾っていた聖母子と幼い聖ヨハネの絵でした。 もちろんこの作品も素敵なものでしたが、一番気に入ったものは「聖カタリナの神秘の結婚」(パルミジャーノ作)です。 西洋独特のシックな色合いに、力強く軽やかに描き出された画面には、優しい光に満ち溢れた物語が凝縮して感じられました。 そして、なんといっても描き出された登場人物たちの顔がとても印象に残りました。 『ルドン展』 とても美しい黒の作家でした。私の中では版画というと一つの固まった纏まりであり、感情移入し難い固さを持つものと感じていましたが、 黒いインクだけで、これほどの深さとユーモアを持ち合わせた版画は初めてでした。 そして、その黒も美しい・・。 4,5点ほどでしたが、ルドンの描いた油彩の風景画もありました。 版画とは対照的に色に拘りを感じましたが、そこにある無常ともいえる一種の寂しさは、版画の中からも感じ取られる存在のあるものでした。 『山口昇展』 なんとも現代的であり、近代的であり、未来的でもあり、日本的であるなぁと思いました。 ご存知の方も多いと思います。 日本画的なタッチで描かれた油彩。SF的な機械がでてきたり、侍がいたり、そこいらのオジサンがいたり。 時代がごちゃ混ぜになった時代絵巻という印象で、絵というよりも物語を観ている感覚に陥ります。 以上、駄文失礼いたしました。 近いうちに、『ムンク展』のレポートも記載しますのでお楽しみに。 美術についていろいろと思いを巡らし、毎日を過ごしていますが、 いかんせん、考えていたことを忘れてしまいまとめられません。 今後は小まめに書き留めて、ここにも記すようにしようと思います。 追記 世界堂大賞展に『反逆の王』と新作『死神一族の襲来』を出品しましたが 見事に二点とも選外になりました。 一般受けしないことは承知の上での出品でしたが、残念です。 私の描くものは、誰の内にもあり、そして多くの人間はそこから眼を逸らしたくなるようなものなのです。 観る側が、それを受け入れられるか否かで価値を見出せるかどうかの違いがあるようです。 自分でも理解してはいますが、私には『これ』しか描けない。 6/Nov/2007 デザインフェスタvol.25への出展を無事終えてまいりました。 まだ、サイトにはアップしておりませんが、地獄三部作「反逆の王」「罪の女王」「死神」をメインにあとは小品を四点展示するというかたちに致しました。 まずまずの良い展示になったかと思います。 一部の近しい人たちだけに告知していたことですが、今回を最後にデザインフェスタからは足を洗います。 理由としては、回を重ねるごとに本物の芸術家と呼べるような出展者が減少していること。 そして、来場者の層も変わってしまった事があります。 原因は、フェスタ自体の規模が大きくなりすぎてしまったことにあるとは思いますが、営利的なものですから、そこは仕方ありません。 恐らくは、ゲイサイのほうに流れていってしまっているのでしょうが、今のところそちらへの出展も考えてはおりません。 今後は、画廊での個展というかたちで発表してゆくのが良策と考えます。 ただし、この考え方は私の中では矛盾する点も含まれるため、複雑な気持ちでもありますが、作品たちを私の手元で眠らせ続けることは、彼らに対して酷であり、生まれ出たものたちを必要としてくれる方に還元すべきという考えに基づいて選択いたしました次第であります。。 性格上、人徳のない私でありますが、多くの友人、知人が来て下さったことに驚き、感謝しております。 みなさま有難うございました! 30/May/2007 さて、最近(?)見てきたものなどを一気に書いてゆきたいと思います。 「ギメ美術館展」(太田記念美術館) 葛飾北斎の竜図・虎図で注目された展覧会です。 二つの作品が並ぶと、一つの物語として展開しているように思われました。 雨の中に佇み、天の竜に恨めしい眼差しを向ける虎。そして、困って目線を合わせないようにしている竜。 勝手な想像ですが・・・。 他にも写楽や広重、その他多数の絵師の作品が並んでおりました。 日本画の構図はとても参考になります。そして描かれている一本一本の線は、油彩のように後から修正の利くものではなく、魂をこめて描かれている重みのあるものでした。 最後に展示されていた、河鍋暁斎の描いた釈迦如来は恐ろしくもあり、美しくも在り、寛大でも在り、全てを内包し、絵師の厳しい眼で描き出された素晴らしいものでした。 「異邦人たちのパリ」(国立新美術館) パリ・ポンピドゥー美術館の所蔵作品から、フランスで活動した外国人作家の作品を集めた展示です。 ピカソ、シャガール、モディリアーニほか様々な作品がありましたが、中でも眼を惹いたのはレオノール・フジタの「カフェにて」でした。 有名な独特の乳白色も然ることながら、シンプルに描かれているようで、見れば見るほどに心地よい深みに嵌ってゆく完璧としか表現しようのない傑作でした。 同じ日本人として、まだ東洋人に偏見があったであろう時代に、これほどの作品を描く画家が居たことを誇りに思います。 以下、演劇です。 東京国際芸術祭 F's Company「ロン通り十三番地」(東京芸術劇場) リーディングという形で上演されましたが、台本持たなければ正当な演劇としても楽しめるものでした。 ところどころに台本を活用した仕掛けがあり、それがまた興味深くもありました。 内容は主人公のロン(サイボーグ?)技師と、その幼馴染で事故によってロンになってしまった女性の恋の話です。 気持ちはありながらも、運命によって一緒にはなれない二人。 ロンになったものは、徐々に身体が蝕まれ、全身がロンへと変化したとき、定めにより戦場へ送られることになる。 そのとき、たった一錠のカプセルによって、自らの記憶か愛するものの記憶を消さねばならない。 とても悲しいけれども、人間味ある深い話でした。 ファミリア・プロダクション「囚われの身体たち」(にしすがも創造舎) チュニジアの劇団による上演です。 イスラム社会からの脱却に貢献した親と、イスラムへの回帰に目覚めた娘。 それぞれの世代の苦しみ。そして和解の道の見えない対立。 社会状況によって対象を変えながらも繰り返される執拗な拷問。 静かに進みながらも、時折激しく暴力的なまでに変化する舞台は、現在も世界のどこかで起きている日常。 いつから、こんな悲惨な世界になってしまったか・・・。 劇中、イスラム衣装での舞いはとても美しかった。 19/May/2007 なんだか更新が曖昧で書くべき順序が入れ替わっております。 記憶も定かではない、恍惚とした今日この頃。 知人の勧めで、渋谷のギャラリー ル・デコ で催されている 「トレバー・ブラウン」の個展を観て参りました。 ビル一つを使った大きなギャラリーで、5階での展示でした。 室内は真っ黒な壁に、さらに黒い風船が床いっぱいにばら撒かれており一種異様な中に、明るい可愛らしい色彩に彩られた作品たちが、それぞれの照明に照らし出されて浮かび上がっておりました。 現代日本の若者文化であるゴシックロリータやSMボンデージのような姿の少女たち あるいは天使たちの絵ですが、一見微笑ましく思えるそれぞれが、締め上げられ、血を流し、四肢を切断し、苦しんでいる。 あの色彩と残虐さのギャップが魅力なのかもしれません。 ?/Feb/2007 ひどく久しぶりの更新です。 たまにチェックしてくれていた方がありましたら申し訳ありません。 肖像オフィーリア(ort-d.d) 2007/2/2 今年も東京国際芸術祭の演劇を観に行きました。 既に何度も名前の出ているOrt-d.dの「肖像オフィーリア」です。 劇場には池袋の明日館の講堂が使われました。 木造建築の講堂内には、木製の長椅子が並べられ、教会のような雰囲気さえ感じられ 正面にはこじんまりとした舞台、メインの客席の他にも両サイドに客席があり、 役者さんたちは舞台の上だけでなく、その両サイドや、客席の間を語りながら通って行ったりして 全体が舞台のような雰囲気でした。 アングラ演劇でも、このような手法が多く用いられておりますが、それとはまた違う泥臭さのない洒落た演出のように感じました。 お芝居の内容は、シェークスピア作「ハムレット」の悲劇のヒロインであるオフィーリアに重点を置いたもので、後に発表された太宰治作「新ハムレット」との差異を通じて、オフィーリアを象徴とする「女性」という存在の持つ光と影、その存在意義について考えさせるものでありました。 去年の演目「冬の花火 春の枯葉」もとても気に入っています。観劇に興味を持つきっかけになった作品です。 効果的に用いられていた「荒城の月」の唄が今でも思い返されます。 演出家の倉迫康史氏率いるOrt-d.dの今後の躍進が楽しみでなりません。 東京国際芸術祭2007 Ort-d.d 11/Feb/2007 |